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植物が有する潜在能力を代謝から科学する
代謝が制御する植物生長に関わる鍵現象を明らかにする
無機元素の同化(窒素同化、炭素同化)
植物の環境応答(土壌中揮発性成分の役割解明)
ヒトは植物が生産するものを代謝することで自身の生命活動を維持しています。植物は自分自身が動いて生きるためのエネルギー効率よりも「自給自足」の道を選び、環境の変化に柔軟に対応することで自身の生存戦略を展開します。この戦略を担うのが、植物体内でおこる代謝ネットワークです。
本研究室では、全生物共通の因子である有機化合物、すなわち「代謝物」に着目します。植物が「自給自足」で賄うエネルギーをどのように配分するか、また環境に応じて代謝物を量的・質的にどのシステムで作り分けをするかを明らかにすることを目指します。最終的には環境変化や遺伝子の変異等、ある要因をきっかけにして起こる代謝ネットワークの変化をオミックス解析により解明し、「元気な植物」でいられるためのシステムを見いだします。
農業になくてはならないのが土の存在です。SDGsの取り組みが叫ばれる中で、環境にやさしい農業の在り方が見直されています。最先端技術を使って「土を知る」取組みが行われています。その中で私達は、これまで注目されていなかった土壌中に含まれる有機物揮発性成分に着目しました。圃場の土から検出される揮発性成分が植物の生長にどのように関わるのかを明らかにするため、研究を行っています。
ヒトの健康等に付加価値を与える代謝物生産向上のための仕組みを理解する
風味の向上
抗酸化と物質生産
代謝物にはヒトを含め生物が生命活動を維持するために必須の一次代謝物、および一次代謝物を元に生合成される二次代謝物があります。二次代謝物のうち、生物の生命活動維持には必ずしも必要ではないですが植物の生命イベントで必要となる代謝物を“plant specialized metabolite (PSM) ”と呼ぶようになりました。
ヒトはPSMが有する抗酸化等の性質をうまく利用して、健康維持や美容改善に役立てています。それ以外にもPSMの中には「風味」に関わるものもあります。私達は特に「香り」に着目し、香りがもたらす風味の向上に貢献する揮発性成分の発見を行っています。植物は積極的に有機物揮発性成分を放出するだけでなく、必要な時に使えるよう植物内に水に溶ける形で貯蔵しています。では、この貯蔵型の有機物揮発性成分は、いつどのように放出されるのでしょうか?
これらの研究を通じて「おいしい植物」の要となる有機物揮発性成分とその成分が植物体内で生産される機構を明らかにします。